The DAO事件を振り返って「イーサリアムの弱点や分裂そして分散型の今」

The DAO事件を振り返って「イーサリアムの弱点や分裂そして分散型の今」

仮想通貨界隈は今も昔も何かと事件があります。ビットコインを一躍有名にしたマウントゴックス事件や最近ではコインチェックのNEM大量流出事件など。
両事件の間に起きていた「The DAO事件」を今振り返ります。

 

人が鞄を持って走るシルエット

 

 

The DAO事件とは

 

まず、The DAO事件をわかりやすく簡単にいうと

日本円で150億円以上のイーサリアムのうち、50億円相当のイーサリアムがハッカーに盗まれた

 

DAO事件に関する用語として、DAOとThe DAOについて簡潔に説明すると

 

DAOとは?
Decentralized Autonomous Organizationの略で、「自立分散型組織」。
いわゆる中央管理者が居ない組織。

 

中央管理者というのは、リーダー・まとめる人って意味ですね。つまり中央管理者が居ない=仕切る人が居ないという感じになります。

 

The DAOとは?
Slock.it社が立ち上げた分散型投資ファンド組織。仮想通貨のイーサリアム(Ethereum)上でスマートコントラクトを利用。

 

 

The DAOの概要・仕組み

 

パズル仕組み

 

The DAOの概要・仕組みこそが、”自分の首を絞める”ということになってしまった。だから「The DAO事件」が起きた、という声は少なくありません。

 

どんな仕組みだったのか?

The DAOはファンドなので投資先を決めるのですが、The DAOトークンの投票によってその投資先を決定していました。

 

投資先を提案することが誰でもできたのですが、それにはキュレーターと呼ばれる人の承認がないといけなかったんです。

投資先用独自トークンを持っている

投資先で得た利益の配当を得ることができる

投資先用独自トークンはThe DAOトークン保有者に配られ”投資した額のイーサリアム/最初にファンドにあったイーサリアム”分のThe DAOトークンは消滅。

 

The DAOトークンをイーサリアムに変えることが以下の流れで出来る。

自身のアドレスに資金を動かすという提案をキュレーターに提出(これを仕組み1とします)

別のアドレスに提案した分のイーサリアムが移動する(これを仕組み2とします)

その別のアドレスから28日後より資金を移動する命令を出すことによって引き出せる(これを仕組み3とします)

 

というのがThe DAOの概要・仕組みです。

 

 

そしてThe DAO事件へ

 

イーサリアムのロゴ

 

2016年6月、50億円相当のイーサリアム(ETH)がハッカーの攻撃により盗まれてしまうという事件が起きました。

 

これが「The DAO事件」ですね。

 

どうやって攻撃されて盗まれてしまったのか?

 

それはまさに上述した「概要・仕組み」を利用された形になります。ここで再度The DAOの概要・仕組みを挙げると

自身のアドレスに資金を動かすという提案をキュレーターに提出(仕組み1)

別のアドレスに提案した分のイーサリアムが移動する(仕組み2)

その別のアドレスから28日後より資金を移動する命令を出すことによって引き出せる(仕組み3)

攻撃したハッカーは、仕組み2の時点で不正なコードを埋め込み、仕組み1から3までをループ処理するように仕向けたのです。

そして50億円相当のイーサリアムが盗まれたわけです。

 

 

The DAOのシステムが悪い?イーサリアムの弱さのせい?

 

イーサリアムコインイメージ

 

事件を捜査した関係者によると、次のことが判明しました。

 

DAOは使用してるプログラムを動作するためのコードの検証を行っていない

プログラム上に欠陥がある

 

つまり、イーサリアムに何か弱点や欠陥があったから起こった事件ではなく、DAOのプログラム(システム)の問題だとされています。

 

”鍵が開いていたから盗めてしまう状態だった”という言われ方もされてます。

 

結果としてこの事件は、ブロックチェーンの流れを一度停止し、50億円相当盗まれる前の状態に戻すことになりました。

これは、わかりやすく言うとイーサリアムのブロックチェーン上にDAOの記録があるわけですが、その記録を盗まれる前の状態に戻す(ハードフォーク)方法により、盗まれたDAOを使えなくしたことで、被害者が損をしないで済むことになったんですね。

 

イーサリアムが分裂するキッカケになった?

 

分裂イメージ

 

50億円相当を盗まれる前の状態にDAOの記録を戻すということ、それがハードフォークです。

 

ハードフォークとは?
該当仮想通貨のルールを変える際に旧ルールを無視し、新ルールを新たに適用することで旧ルールの互換性が無くなる事

 

その際、イーサリアム側で次の2つの意見が出ていました。

 

意見1
ハッキング事件の前に戻して事件をなかったことに。ハッキングしたアカウントも凍結しよう。

 

意見2
事件は事件のまま残しておこう。ただ、ハッキングしたアカウントは凍結しよう。

このように意見としてはそれぞれ違う意見を出しているんですね。

 

この意見の違いこそがイーサリアム分裂の原因と言えます。

 

意見1⇒イーサリアム

 

意見2⇒イーサリアムクラシック

 

まさにイーサリアムが分裂するキッカケとなったのがThe DAO事件というわけですね。

 

 

まとめ

 

分散型組織DAO、中央管理者の持たない”分散型”という言葉。最近では”分散型アプリケーション”として「Dapps」がよく耳にするようになってきていると思います。

「Dapps」に関する記事はこちらになります

ブロックチェーンを用いた非中央集権的なアプリケーションなわけですが、DAOはいわゆる”分散型のはしり”といった声もあるようですね。

そのシステムやプログラム等に問題がなかったとしたら今頃はどうなっていたのか?イーサリアムも分裂することがなかったのでは?と考えてしまいます。

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